100年前からの宿題 2011 11 27

 「遠野物語」で有名な柳田国男について、
11月25日の読売新聞には、このような記事がありました。
(以下、引用)
(記者が)柳田国男が農政官僚だったと知ったのは、ずっと後だ。
1904年の政策提言に、こうある。
「1戸あたりの農地面積が広いアメリカと競争するには、
2ヘクタール程度の中規模農家を養成すべきだ。
関税による保護しか策がないというのは、誤りだ」
 驚いた。
関税に代わる農業振興。
海外との競争を視野に、日本の農政は、
100年以上も同じ課題と格闘しているのだ。
 答えは出ず、今もコメの値段を高く維持することを主軸に、
農業保護策を組み立てている。
778%もの高関税と生産調整(減反)は、その両輪だ。
(中略)
 1970年から続く減反では、
水田の4割に当たる100万ヘクタールが失われ、
その分、コメを作る力も、
国土保全など水田の多面的な機能も削られた。
それでも値段は下がり続けている。
(以上、引用)
 天国の柳田国男も、あきれて見ているでしょう。
いや、日本の農政に、100年間も、ため息をついているでしょう。

日本の農業 2010 7 3
 民主党は、「大きな政府」を指向しているように思えます。
たとえば、日本の農業について、考えてみましょう。
 神門義久教授は、「週刊エコノミスト 2010 4/20」で、こう書いています。
(以下、引用)
戸別所得補償が招く農業の「突然死」

民主党の目玉政策である農業の戸別所得補償は、
「片手間農家」を厚遇する点で、自民党農政と変わらない。
貿易自由化に向かうなか、コメの国際競争力が失われていく。

 戸別所得補償の内実を理解するには、
まず最初に、日本の農家の姿を認識する必要がある。
 農家というと、農業で生計を立てていると、
読者は思っているかもしれない。
 実態は違う。
圧倒的多数は、年金やサラリーマンの給料など、
農業以外で安定した収入を確保し、
所得水準は、総じて同世代の都市勤労者より高い。
彼らは高齢者だったり、週末に片手間に農業を営んでいたりして、
たいてい耕作技術が低い。
 こういう片手間農家が作りたがるのがコメだ。
稲作ほど、マニュアル化が進んだ作物はないからだ。
農協に言われるままに、
お決まりの肥料や農薬を撒き、農業機械を買い揃えると、
品質に目をつむれば、それなりに収穫できる。
極端に言えば、低品質ないし高コストのコメならば、
素人でもできる。
(中略)
 しかし、この構造は、来るべき貿易自由化の時代には通用しない。
国内価格の半額以下という安価な外国産コメが流入すれば、
よほど大型の給付金を稲作農家に支給しない限り、
コメを守ることはできない。
そんな余裕は日本の財政にはないだろう。
(引用、以上)
 私は、こんな日本の農業の現状を考え、
小泉政権時代に、「プロ農家や大規模農家」を育成すべきだと主張しました。
 ところが、神門義久教授は、こういう指摘をします。
「現状では、あまりにも片手間農家が繁茂しているため、
名人的農家が、なかなか育たない。
政府の支援を受けた片手間農家が大量のコメを生産するため、
コメ市場は値崩れを起こしており、
名人的農家のコメに正当な価格がつきづらい」
 自民党の農政も問題がありましたが、
民主党の農政も、これでは、いくら予算があっても足りないでしょう。
だから、最近の民主党は、税収確保に必死になってきたのかもしれません。
 大きな政府は、大きな税金を必要とします。
民主党は、既得権から離れて、「しがらみのない政治」を目指す。
それが、民主党の出発点だったはずです。
 しかし、いつの間にか、民主党は、自民党化してしまったのです。
民主党は、「市民のための政党」から、「既得権のための政党」に変わったのです。













































































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